花の色と青い煙草

ダンス・ステップ・スラップスティック

ライフ・オン・ザ・プラネット

久しぶりにクリープハイプの曲を聴いたらなんだかバカみたいに刺さってしまって書き散らしている。

こんな私の感傷に引きずられて歌の意味が変わっちゃう前にまずは曲を聴いてくれよな。

 

それでタイトルはもちろんあの曲、だけれどその前にまずクリープハイプについて思い出話をさせてほしい。初めてそのバンドの名前を知ったのはたしか2013年、友人たちの間ですごく流行っていたのを覚えてる。

吹き零れる程のI、哀、愛。「自分のことばかりで情けなくなるよ」でも使われたこの音楽たちは、まだ大学生でそして今からするとバカバカしくなるくらいに恋愛が人生を占めていたあの時期を彩っていた。

それでも夜中の三時が朝になったらきっと仕事を休むなんてできなくてどこか醒めたような気持ちと、あの衝動に対する嫌悪と、それでも渇望するアンビバレント。馬鹿げていたのは知ってるよ、一生懸命だったんだ。あの日観た映画はナイト・オン・ザ・プラネットのように群像劇で進んでいく、それぞれの恋愛と人生と敗北を抱えながら。

2016年社会人になりたての私は事務で稼いだお金で初めて彼らのライブを見た。晴れる山中湖の昼、退屈なんてそこにはなくてあらん限りの声でHE IS MINEのコールを返していた。

それから何年経っただろう、人生はやることが多すぎて爛れた恋愛なんてやってる暇もなくて気付いたら普通の大人になってた。クリープハイプなんて聴かなくなって、別のバンドにばっか目移りして。流行りが変わったのもある。いつのまにかサブカルチャーのシーンの中心にはヒップホップがいたし、そういう音楽ばかり聴いていた。King GnuがヒットしてCreepy Nutsが流行ってオーバーグラウンドからアンダーグラウンドまで太いキックが響いてる。

そんな中、ファンキーなサウンドにちょっとしたラップと、いつもどこかうすらぼんやりとした歌詞で歌う今の彼らの曲が不意に刺さった。クリープハイプのズルいところは過去の曲のセルフパロディを重ねながらいつでも戻ってこいよと歌ってる。しばらく聴いていなかっただろ?ってメッセージを添えながら、聴いていきなよって。

勝手にそう思ってるだけなのかもしれないけど、ナイトオンザプラネットと同じアルバムには死ぬまで一生愛されてると思ってたって歌詞があった。勘違いしてもいいよな、勘違いさせてくれよ。

あの頃を懐かしむ歌詞に突き刺さるのは「あの頃と引き換えに字幕より吹き替えで命より大切な子供とアニメを観る。いつのまにかママになってた。」という一節で、メジャーデビューから10年経った今、大学生だった私たちは今、大人になってる。なのに聴いてなくてごめんね、でも2016年夏あの日ライブで歌ったスーパードライはいまも飲んでる。

 

それでちょっと思い出しただけ。