花の色と青い煙草

ダンス・ステップ・スラップスティック

2018-01-01から1年間の記事一覧

春の歌

ちょっとしたショートショートの書き残し。 ーーー 僕には記憶が無い。自分が何者であるかも分からず生きている。気がついた頃には子供たちに囲まれて、善き遊び相手として、あるいはすこし夢見がちな子の聞き手としてずっと過ごしていた。 僕はその暮らしを…

秋飛ばし、

これはお盆のころの話。夜の街を歩いていたらいつまでもいつまでも子猫がついてきて、もし猫を飼うとしたらこういう時だろうと旅先で思った。やがて横断歩道に着いてその子は渡れずに引き返していった。わたしがこの街に住んでいたら今頃はあの子を膝に抱え…

隠芽、因果。

ねむの木に手が届くまで走り書きです。推敲も酔狂もない。 起。 ずっと前にいただいた種に水をあげていた。どんな芽が、どんな葉が、どんな花を、どんな実を、いつかの姿に思いをはせながらすごしていたのですけれど今年はよく芽が出る。今まで積み重ねてき…

文書107

久しぶりのショートショートです。雨がこの街を満たしている。帰るために潮の匂いを思い出そうとしていた。今日は一周忌だからいつも吸っていたタバコと缶ビールを手土産にもっていく。雨がこの街を満たしている。あれからみんなどうしてるのかな、僕は変わ…